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では、アトピーと肌の関係について、学びましょう。
それは、皮膚のバリア機能の低下という側面です。
これは、皮膚の乾燥という症状と関係しているものです。
肌の基礎知識でもお話したことですが、皮膚の一番上には角質層という薄い膜があります。
この膜のおかげでわれわれは内側の水分を保ち、外からの刺激にも耐えられるわけで、 この膜がなければ生命の維持は困難なくらい重要なものです。
角質層の中でバリア機能に重要なのはセラミドという脂質ですが、 アトピー性皮膚炎の方の角質層ではセラミドが減っていて、 バリア機能が落ちていることがわかっています。
したがって、アレルギー炎症云々の前に、 むしろこのバリア機能の低下が根本的な問題です。
その結果、通常は入ってこない物質が入ってくるから 異常なアレルギー炎症が生じるという考え方もできます。
現在のところ、どちらが原因か結果かはまだわかりませんが、
これはアトピー性皮膚炎における遺伝的な素因は、
IgEを産生しやすい素因なのか、
セラミドが少ないという素因なのか、
という根本的な問題にもつながってきます。
普通は幼小児期に症状が出てきて、その症状は年齢とともに変化していきます。
乳幼児期には顔面、頭部などにジュクジュクした湿疹を生じますが、 学童期には肘、膝の裏などを中心にカサカサした湿疹がみられるようになります。
かゆみも強く、引っ掻き傷がたくさんみられます。
合併症として、IgEが病気に関係する他のアトピー性疾患、 すなわち喘息(ぜんそく)やアレルギー性鼻炎を伴うこともあります。
また、皮膚のバリア機能低下の結果、とびひ、みずいぼ、 単純ヘルペス(カポジ水痘様発疹症)など様々な皮膚の感染症がみられます。
眼の合併症も重要で、眼のまわりの湿疹を繰り返し叩いたり擦ったりする刺激により、 網膜剥離(もうまくはくり)や白内障が生じます。
次は、アトピーと入浴の深い関係をお話します。
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